町田市長選を前に/子育て世代、呼び込む街 – 朝日新聞社

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 「ママだよー」。保育士の呼びかけに、遊びに夢中だった幼児が迎えにきた母親に駆け寄る。町田市が民間に事業委託する送迎保育ステーション「つながり送迎保育園・もりの」で夕方見られる風景だ。

 市中心部の町田駅から徒歩約5分。1~4歳児クラスの18人が利用する。子どもは保護者が朝の通勤前に預け、専用のワゴン車で3~4キロ離れた郊外の保育園やこども園へ通う。そこで日中を過ごし、夕方に送迎車で戻ってきて、仕事帰りの保護者を待つ。市によると、こうした事業を自治体が行うのは千葉県流山市などで例があるが、都内では初めてだ。

 「園庭が広く、自然の中でのびのびと遊ばせられる」。神奈川県中西部に通勤する地方公務員の石曽根彩さん(34)は昨年12月から、長男(3)が郊外の認定こども園に通うのに利用している。「自分で園まで送り迎えすれば、日々の生活が苦しくなるから迷っていたが、自宅から駅への途中にこの施設ができて、よかった」

 昨年10月オープンの施設は希望者が多く、4月から定員を10人増の30人に、送迎車も2台に増やす。「駅近くに住みながら、自然豊かな場所で子どもを育てたい。そんな家族の選択肢となる『町田スタイル』が浸透してきたのでは」。市子ども生活部の担当者は話す。

 町田市は拠点駅周辺を中心に新築のマンションや戸建て住宅の建設が続く。それに合わせ、市は保育所増設や、子どもセンターの整備、子育て世代向けの広報などに力を入れてきた。

 結果、市内への転入者が転出者を上回る「転入超過」は昨年、0~14歳が649人。政令指定市を除けば全国の自治体で3番目だった。トップだった2016年に続く上位を保ち、0~4歳が425人と6割以上を占めた。

 そんな姿は、都心のベッドタウンとして急発展した高度経済成長期に重なる。17年の違う点は、働き盛りの世代を含む15~64歳の転出が転入を55人上回る「転出超過」だったことだ。

 □20代、流出多く 30代、定着カギ

 20代の転出超過が705人と大きい。桜美林大や玉川大など大学が数多く立地し、卒業や就職を機に流出するためとみられる。しかし、転入超過の30代もその数は135人にとどまる。転入する子どもたちの親世代のはずなのに。

 なぜか。「独身の男女、子どもがいない夫婦の転出が多いためでは」などの推測はある。この数年、傾向は変わらない。市は確かな理由をつかめずにいる。一方、23区の15~64歳の転入超過は約7万6千人。都心への人口集中の影響が他自治体より強いのか。

 市の総人口は約42万8千人で5年前と比べて微増。だが30代は約4万8千人と2割近く減った。市は20年をピークに総人口も減少に転ずるとみる。30代が定着しなければ、高齢化に拍車がかかり、市財政への影響も大きくなる。

 長女を出産後、品川区から実家がある南町田に戻って10年になる会社経営、神野美穂さん(41)は、都心に通勤する夫(42)が自然の豊かさを気に入ったのが転居先選びの決め手だったという。「便利さでは23区とは戦えない。都心に行く大変さより緑が多い方がいいという人にいかに選んでもらうか。他の郊外の街ではなく、なぜ町田なのかというアピールができていないと感じます」

     ◇

 新たな「町田スタイル」をどう生み出し、広げるか。18日告示、25日投開票の町田市長選を前に、次の4年を託す市長に課せられた宿題を探った。

 (武井宏之)

2017年に0~14歳の転入超過が多かった自治体(政令指定市は区ごと)

 順位            0~14歳 15~64歳

 1 (2) 千葉県流山市   821   2983

 2 (4) 千葉県柏市    678   2061

 3 (1) 町田市      649    -55

 4 (3) 千葉県印西市   613    844

 4 (5) 大阪府箕面市   613    392

 6(29) 兵庫県明石市   574   1620

 7(15) 札幌市手稲区   546    249

 8 (6) 札幌市北区    523    440

 9(10) 茨城県つくば市  473   1369

10(20) さいたま市緑区  440   1383

 (単位は人。総務省の住民基本台帳人口移動報告から作成。順位のカッコ内は16年。)





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