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クリスマス、そして新年を間近に控えて、米国の政治情勢がいつも以上に慌ただしくなってきた。

  • 目が離せない米国の政治情勢

2018年度予算

喫緊の課題は2018年度予算だ。米国の会計年度は前年10月に始まり、当該年の9月に終わる。つまり、2018年度は今年10月に始まっており、18年9月までの1年間だ。ところが、正式な予算はまだ編成されていない。現在の継続予算(つなぎ予算)は12月8日に失効する。

議会は新たな継続予算を用意しつつあるが(7日の本稿執筆時点では未定)、2週間程度の短期間をカバーするものであり、問題を先送りするにすぎない。焦点となっているのは、国防やそれ以外のプログラムにいくらの予算を付けるかという点に加えて、不法移民の子供に対する特別措置(DACA)や医療保険制度(オバマケア)修正の是非など。一見したところ予算に直接関係はないが、物議を醸している項目も含まれており、それだけ審議が難航する原因となっている。

継続予算が失効すると、予算が付かないため、安全保障や航空管制などを除く不要不急の行政サービスは停止する。いわゆる「シャットダウン」だ。シャットダウンは過去に何度か発生している。一般市民は不便を強いられるが、短期間であれば金融市場への影響は限定的だ。

デットシーリング

一方、同じ12月8日に、デットシーリング(債務上限)が復活する。これは、連邦政府の債務残高の上限のことで、それを超えて新たに債務を増やすことはできない。

深刻なのは、(自然に発生する)国債の利払いができなくなることだ。いわゆるデフォルト(債務不履行)である。米国の国債は、4割近くが外国人に保有されており、また米国内外の様々な金利のベンチマークになっているため、デフォルトが発生すると世界の金融市場に激震が走りかねない。

幸いなことに、議会がデットシーリングを引き上げなくても、財務省が「奥の手」を使って資金をやりくりすれば、18年春ごろまで債務危機は表面化しない模様だ。

税制改革

そして、トランプ政権が最重要の経済政策と位置付けてきた、税制改革法案の議会審議が大詰めを迎えている。上院と下院が異なる法案を可決したため、それらの一本化作業が始まっている。一本化された法案を改めて上院と下院が可決すれば、大統領に送付され、署名を得たうえで成立する運びとなる。

もっとも、一本化がスムーズに進むかどうかは不透明だ。税制改革法案は予算関連の法案として審議されているため、上院でも少数政党によるフィリバスター(採決遅延行為)は認められておらず、過半数の議席を持つ共和党だけで可決することが可能だ。ただし、共和党内でも足並みは揃っていない。一本化に時間がかかって来年に先送りされるかもしれないし、修正が加えられた一本化法案に市場が失望する可能性もゼロではない。

ロシアゲート

ロシアが米大統領選挙に干渉し、それにトランプ陣営が関与したとの疑惑、いわゆるロシアゲートについて、FBIのモラー特別検察官の捜査が進展している。

12月3日、上院司法委員会の民主党フェインスタイン議員は、トランプ大統領の司法妨害の可能性を示す根拠が固まりつつあると述べた。

トランプ陣営の元選対本部長マナフォート氏、や前大統領補佐官(国家安全保障担当)フリン氏ら4人が訴追された。このうち、フリン氏ら2人はFBIに対して虚偽の供述をしたとして有罪を認めている。そして、トランプ大統領の関与が明らかになりつつあるということらしい。

さすがに、「トランプ大統領が弾劾へ」と考えるのは短絡的過ぎるだろうが、さらに何が飛び出すか、注意は怠れない。

北朝鮮・トルコ・エルサレム

国際関係に目を向けると、北朝鮮問題が引き続き深刻な地政学リスクとして居座る一方、米国と、トルコや中東諸国との関係悪化も懸念される。

トルコに関しては、同国政府が昨年のクーデター未遂の首謀者とみなしている在米のギュレン氏の引き渡しを、上述のフリン氏が画策していたことが明るみに出た。また、米国の対イラン制裁に違反したとして起訴された、イラン系トルコ人ザラブ氏がトルコ政府「最高レベル」の関与を示唆したとして、にわかに注目を集めている。

12月6日、トランプ大統領はエルサレムをイスラエルの首都に認定した。これに対して国際社会から批判が出てたが、とりわけトルコを含むイスラム諸国が猛反発している。

米当局や議会関係者だけでなく、世界の市場関係者もが、静かなクリスマスを迎えられる保証はない。



執筆者プロフィール : 西田 明弘(にしだ あきひろ)



マネースクウェア・ジャパン 市場調査部 チーフエコノミスト。1984年、日興リサーチセンターに入社。米ブルッキングス研究所客員研究員などを経て、三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社。チーフエコノミスト、シニア債券ストラテジストとして高い評価を得る。2012年9月、マネースクウェア・ジャパン(M2J)入社。現在、M2JのWEBサイトで「市場調査部レポート」、「市場調査部エクスプレス」、「今月の特集」など多数のレポートを配信する他、TV・雑誌など様々なメディアに出演し、活躍中。



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