諫干開門調査 一方的見送りでいいのか

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国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)の潮受け堤防開門問題を巡り、斎藤健農相が13日、佐賀、長崎両県を視察した。関係者との意見交換の場で、農相は「開門はしない」との考えを明言した。

農相の現地訪問は国が4月に開門しない方針を表明して以来、初めてだ。佐賀県の漁業者からは「有明海の環境悪化の原因究明には開門調査が必要」との声が相次いだ。山口祥義知事も「国には漁業者の立場、現場の状況というものをしっかりと踏まえた上で対応していただきたい」と要望した。

この問題では国に開門を命じた2010年の福岡高裁判決が確定している。一方、今年4月には長崎地裁が国に開門差し止めを命じた。国は控訴せず敗訴判決を受け入れ、開門しない姿勢を示した。

これを受け、農林水産省は来年度予算の概算要求で開門調査経費計上を見送った。代わりに設置する漁業振興のための基金の経費として100億円を要求している。

長崎地裁の裁判で国は、漁業者との和解を目指して100億円の基金案を提示したが、理解を得られず協議が決裂した経緯がある。

なぜ国は一方的に「開門せず」を前提に動こうとするのか。これでは開門賛成、反対両派の対立を固定化してしまわないか。農相は「これをやれば劇的に回復するという手段があるわけではない」と言うが、説得力に乏しい。

諫早湾干拓を巡る国の対応は他の政策課題にも波及している。

防衛省が計画する佐賀空港への陸上自衛隊オスプレイ配備では、諫早湾干拓問題に関する国の対応から地元漁協が「オスプレイ配備後に何かあっても、何も対応しないのではないか」と不信感を募らせているという。国は事態の深刻さを真剣に受け止めるべきだ。

膠着(こうちゃく)状態を打開するには、私たちが何度も主張している通り、まずは対話再開の糸口となるように専門家も含めた関係者が一堂に集う場を設けるべきではないか。

現状で何ができるかを科学的知見に基づいて議論し、双方の接点を見いだす努力が欠かせない。

=2017/11/15付 西日本新聞朝刊=





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