小池都知事を「暗黒政治家」と呼ばざるを得ない、その理由を明かそう

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「希望の党」には代表選がない

希望の党の小池百合子代表は何を目指しているのか。自らの言動が本心を示している。彼女は総選挙に勝利したら、独り舞台裏の密室で内閣総理大臣を決めるつもりなのだ。とんでもない「暗黒政治家」の正体が見えてきた。

私は「希望の中身がカラッポで、集まったのはポンコツばかり」という話を2週連続で書いてきた(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53047,http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53116)。多くの読者に好評だったが、そんな批判ではすまない事態になってきた。

なぜかと言えば、小池氏は日本政治に前例がない「暗黒政治家」として君臨しようという意図がはっきりしたからだ。どういうことか。それは立候補が締め切られた10月10日までに明らかになった、次の3つの事実によって証明されている。

まず、小池氏自身は総選挙に立候補しなかった。次に、希望は小選挙区と比例区合わせて過半数を超える235人の候補者を擁立した。そして3番目に、ここがもっとも重要な点だが、小池氏は「首班指名選挙でだれに投票するかは選挙後に決める」と言い続けている。

この3点を合わせれば、小池氏が言っているのは「もしも過半数を制したら、だれを内閣総理大臣にするかは私が決める」という話になる。言い換えれば「私が勝ったら、だれを総理にするかは一切、私に任せて」と言っているのだ。

これは国民に対して「だれを総理にするか、白紙委任状を出せ」と言ったに等しい。

12日付の新聞各紙は一斉に「希望の失速」を報じた。だからといって安心はできない。希望が他の野党や一部与党議員などと連携して首班指名に臨み、希望がキャスティングボートを握る形になった場合でも、小池氏の暗黒政治シナリオは実現する可能性がある。

小池氏自身は国会議員でないから総理になれない。だれを身代わりの総理に想定しているか知らないが、それは小池氏の「操り人形」だ。総理だけではない、閣僚たちも小池氏が選ぶだろう。しかも、国会議員でない小池氏自身は国会で説明責任も負わないのだ。

かつて「闇将軍」という言葉があった。古くは故・田中角栄氏である。田中氏は1982年、中曽根康弘氏を総理に仕立て、自分は田中派の数を武器に舞台裏から政権に多大な影響力を及ぼした。これをマスコミは「二重権力」「田中曽根内閣」と評した。

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近い例では、小沢一郎氏も2009年、鳩山由紀夫内閣で幹事長を務め、やはり政権に舞台裏から大きな影響力を発揮した。だが、田中氏も小沢氏も国会議員ではあった。

小池氏は国会議員ではない。それなのに舞台裏で政権を操るどころか「勝てば自分が総理を選ぶ」と公言している。さらに彼女は希望の代表だが、党内選挙で選ばれた民主的な代表ですらない。自分が勝手に党を作って、勝手に代表に収まっただけだ。

こんな話は見たことも聞いたこともない。異例を通り越して、バカげている。

彼女は「日本をリセットする」と言っているが、これが「リセット」の正体なのか。まったく恐れ入るというほかない。まさに「ブラックボックス政治」「暗黒政治」そのものである。彼女は自分が言っていることが何を意味するのか、分かっているのだろうか。

もしも分かって言っているとしたら、史上空前のファシスト顔負けである。分かっていないとしたら、彼女は議院内閣制や民主主義の根幹を理解していない。私は後者とみている。理由はすぐ後で述べる。

「統治原理」を丸ごと無視

その前に、議院内閣制とは何かを確認しておこう。この国の主権者は国民である。国民は自分の代理人として国会議員を選ぶ。国会議員による首班指名選挙で過半数の支持を得た議員が内閣総理大臣になる。これが原則だ。

つまり国民は自分が選んだ議員を介して首相を選ぶことによって、間接的に首相を統治(ガバナンス)する。ところが、もしも議員ではない小池氏がただ独り、密室で総理を選ぶとなると、国民は総理への統治を効かせるチャネル(回路)がなくなってしまう。

簡単に言えば、総理は国民の代理人たる議員に選ばれたわけではなく、実質的には小池氏に選ばれたのだから、小池氏の言うことは聞いても、国民の言うことを聞く理由はない。総理はひたすら小池氏に恩義を感じるだけだ。

彼女がやろうとしているのは、議院内閣制と主権者である国民による統治の原理を根本から無視した政治行動なのだ。彼女は都民ファーストの会を離脱した都議たちから独裁的体質を指摘されている。実際、希望は代表以外は党の役員すら、いまだに決めていない。統治原理を無視した独裁者ほど怖いものはない。

これには「どうせ希望は過半数をとれない。だから心配ない」という反論があるだろう。だが、この話はとれるかとれないかではなく、いったい彼女がどんな政治を目指しているのか、という根本的な問題である。

彼女は「暗黒政治」を最初から意図して目指してきたのだろうか。私はそうではなく、たまたまそうなってしまったのだ、とみている。なぜか。党創設前後の言動が行き当たりばったりで、その場しのぎの連続だったからだ。

「お笑い」というより「スリラー」

たとえば、肝心の首班指名をだれにするか。彼女は当初「公明党の山口那津男代表がいい」と口走ったかと思えば、その後は自民党の石破茂氏の名前がとりざたされた。最近では「無所属議員」もほのめかしている。これは前原誠司氏を念頭に置いているのか。

そもそも希望の党の創設自体も、若狭勝氏や細野豪志氏が国政新党構想を練っていたかと思えば突然、自分が前面に躍り出て「議論をリセットし、自分が代表の希望を作る」と言い出して始まった話だった。

希望の党の商標登録は2月に出願していたというから、かなり前から国政新党を計画していたのだろうが、ドタバタぶりを見れば具体的な政権獲り構想が練られていたとは考えにくい。ほとんど出たとこ勝負の場当たりで決めている。

小池氏は当初、都知事を辞任して総選挙に立候補するシナリオを視野に入れていたのだろう。だが、国民の反感の強さを目の当たりにして結局、取りやめた。そこから歯車が狂い始めた。党の代表でありながら、首班指名候補も決められなくなった。

その結果、行き着いた先は「勝ったら、自分が密室で総理を決める」という暗黒政治シナリオになってしまった。これをとんだ「お笑い劇場」と片付けるか、それともゾッとする「政治スリラー」とみるか。

私は100に1つ、いや1000に1つとはいえ実現する可能性がある以上、お笑い劇場と片付けられない。それ以上に、かくも論理的、政治的思考力に欠けた政治家がテレビや新聞に登場し、もっともらしく政治を語っている現実に寒気を覚える。

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私はこの問題を10月9日放送のニッポン放送の番組「ザ・ボイス そこまで言うか!」(https://www.youtube.com/watch?v=oS_DeenzvXg)と同日付の四国新聞コラム、さらに10日発売の「夕刊フジ」コラムで指摘してきた。

他のマスコミは何をしているのか。小池氏の「私が総理を選ぶ」という発言の重大さを理解できず、もっぱら「小池氏はだれを選ぶのか」にばかり目を奪われている。そんな政治記者は「政治記者」ではなく「政局記者」にすぎない。

とりわけ、左派系マスコミは口を開けば「権力監視が使命」というが、小池氏の野望の本質をまるで監視できていない。マスコミとコメンテーター、政治学者たちのお粗末さが見事に表れている。

そこで、夕刊フジに書いた私の結論を再掲しておこう。

彼女はポピュリストですらない。政策を論じる以前の問題だ。小池氏はポピュリストの仮面をかぶった「暗黒政治家」である。希望の失速が報じられているのが、せめてもの救いだ。こんな政治家に騙されてはいけない。





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