【衆院選 政策を問う】(2)社会保障 負担の受け入れ説得が肝心 津田塾大教授・森田朗氏

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少子高齢化が進む中、医療や介護などの社会保障制度は、持続可能性の観点からみて相当厳しい状態だ。だが、ほぼすべての政党は少ない国民負担で社会保障サービスを充実することを訴えている。実現への具体策はみえず、問題の深刻さを理解しているか疑問だ。

安倍晋三首相は「全世代型社会保障」を掲げ、消費税増税に伴う税収増分について、借金返済に充てる予定だった分を減らして教育無償化などに回すという。一つの選択肢だとは思うが、残った借金は将来世代が支払うことになる。

北欧諸国は高齢化が進んでいるが、日本の消費税に当たる付加価値税の税率が25%だ。支出を絞り負担を上げて制度を維持する努力をしている。しかし、日本では平成24年の与野党合意に基づく社会保障と税の一体改革で消費税財源を社会保障の安定化に充てるとした理念が揺らぎつつある。

37年には団塊世代がすべて75歳以上の後期高齢者となり、医療・介護費が急増する。社会保障制度の破綻を防ぐため、改革に向けた議論をすぐ始めるべきだ。

今後は医療費を抑えるため、ビッグデータなどを活用して医療資源が最大限、効率的に使われているかをチェックする必要がある。利用者の所得などに配慮した応能負担の考え方も進めていかないといけない。

すべての人が幸せになる方法はそうそうなく、誰かに負担のしわ寄せがいく。負担を受け入れるよう説得するのが政治的なリーダーシップとして最も肝心だ。(中村智隆)

【メモ】

医療や年金、介護にかかる社会保障費は高齢化で増え続け、平成29年度予算では、歳出の3割超に当たる32兆4735億円に膨らんだ。政府は財政健全化計画で、28〜30年度に社会保障費の自然増を年約5千億円に抑制する方針を掲げ、28、29年度予算では達成した。ただ、34年には団塊世代が75歳以上の後期高齢者になり始め、社会保障費の増勢は加速することが確実。30年には計画の進(しん)捗(ちょく)を点検し、財政再建に向けた施策を見直す予定で、社会保障費を抑えるための効果的な制度設計が最大の課題となっている。

【プロフィル】森田朗氏

もりた・あきら 東大法卒。東大大学院教授、東大公共政策大学院院長、学習院大教授などを歴任し、平成29年4月から現職。厚生労働省中央社会保険医療協議会会長、国立社会保障・人口問題研究所所長も務めた。66歳。神戸市出身。

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津田塾大学の森田朗教授=11日、東京都渋谷区(寺河内美奈撮影)





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