上皇后か皇太后を検討 退位後の皇后さまの呼称

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 天皇陛下の退位を巡る政府の有識者会議(座長・今井敬経団連名誉会長)は4日、退位後の天皇の呼称や待遇などの制度設計に関して集中討議を行った。21日にも安倍晋三首相に提出する最終提言のとりまとめに向け、意見集約を図る。4日の討議では、陛下の退位後の皇后さまの呼称について「上皇后」や「皇太后」を検討したものの方向性は出なかった。

4日開いた有識者会議の会合(首相官邸)
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4日開いた有識者会議の会合(首相官邸)

 4日の集中討議は、前回3月22日の会合で天皇の退位後の制度設計に関して皇室に詳しい専門家を呼んで意見聴取を実施したのを踏まえ、退位後の天皇と皇后の呼称や敬称、葬儀のあり方などについて議論した。

 メンバーの一人の山内昌之東大名誉教授は会議終了後、記者団に退位後の天皇の呼称に関し「上皇という方向で調整される」と明言した。皇后さまの呼称に関しては「上皇という呼称との関係、皇室典範に規定されている皇后さまに相当すると思われる名称の歴史性と現代性を勘案し、もう少し議論が必要だ。皇太后あるいは上皇后に関する議論は行われた」と語った。皇室典範には皇太后の呼称はあるが、上皇后の規定はない。

 陛下が退位した後の皇后さまの呼称は論点の一つだ。政府内には退位後の天皇を上皇と呼ぶ方向になったのを踏まえ「上皇后」とする案が望ましいとする意見もある。「皇太后は亡くなった天皇のきさきという印象がある」(関係者)との見方もあり調整する。

 皇太子さまが即位した後、皇位継承順位1位になる秋篠宮さまの処遇の問題も残る。有識者会議は皇太子さま並みの待遇にすべきだとの方向を打ち出す方針だ。皇太子ご一家と一般の宮家では予算やスタッフなどの面で差があり、待遇改善を求める。退位後の天皇と皇后を含め、天皇や皇太子ら独立した宮家を持たない内廷皇族に支出する内廷費や、秋篠宮さまをはじめ、宮家に拠出する皇族費をどう扱うかが焦点となる。

 秋篠宮さまの呼称を巡っては、秋篠宮家は国民に定着し、維持すべきだとする意見がある。一方で皇位継承順位1位であることがわかりにくく海外接遇の際に不都合が生じるなどの懸念もあり、「皇太子」を推す声もある。3月22日の意見聴取では専門家の1人が皇室典範の解釈を変えれば、秋篠宮さまを皇太子と呼ぶことも可能との見解を示した。「皇太弟」とすべきだとの専門家もいる。陛下が退位した後のお住まいでも方向性を出す方針だ。

 一方、退位後の天皇の呼称に関しては方向性が固まった。有識者会議は最終提言に呼称を「上皇」、敬称を「陛下」と明記する方針だ。退位後の天皇と現役の天皇の間で権威が二元化するのを防ぐ狙いがある。葬儀や陵墓もそれぞれ天皇と同じ「大喪の礼」「陵」と提言する見通し。

 退位後の天皇の呼称や敬称を巡っては、敬意を保ちつつ、現役の天皇との「権威の二元化」をいかに防ぐかが課題となっていた。政府は過去のように退位した天皇と現役の天皇を巻き込んだ政争が起きる事態は想定しにくいとみているが、現行憲法がうたう象徴天皇制のもと、退位した天皇が一定の権威を保てば「象徴の二重化」という矛盾も引き起こしかねない。

 3月22日に開いた意見聴取では、専門家3人が退位後の天皇の呼称は「太上天皇」か、略称の「上皇」が望ましいとの考えを示した。有識者会議では「太上天皇は今上天皇と天皇が2人いるようなイメージを与え、上皇の方がいい」(メンバーの一人)という意見が強い。政府内には権威の二元化を避けるため、「退位後の天皇は一切の公的活動を控えるべきだ」(高官)との声もある。

 有識者会議は6日も集中討議を続行する。座長代理の御厨貴東大名誉教授は終了後の記者会見で「首相に慎重で迅速にと言われている。両方で検討を進める」と語った。





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