“空気”より厄介? 森友学園問題で注目を浴びた「忖度」という言葉の威力 … – THE PAGE

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日本外国特派員協会で話す籠池氏。今までは日の目を見なかった「忖度」という言葉が注目されています(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 大阪府豊中市の国有地払い下げをめぐる森友学園問題で「忖度(そんたく)」(人の心を推し測る)という言葉が注目を浴びています。籠池(かごいけ)泰典氏は3月23日、国会で証人喚問を受けた直後、日本外国特派員協会で記者会見を行いました。その際、籠池氏が発した「安倍首相の心を忖度した人たちがいた」の「忖度」の解釈をめぐり、通訳や弁護士が説明に追われるという場面がありました。

 はじめ、「reading between the lines(行間を読む)」と訳されたのですが、具体的な口利きの有無を訪ねた記者の質問に、「surmise(推測する)」「conjecture(憶測)」などの語を使って補足したうえで、〈英語には「忖度」に直接あてはまる語がない〉と説明されたのです。

 こうしたことから、「忖度」は日本特有の言葉と解釈されそうですが、漢語であって、和語(大和ことば)ではありません。紀元前の中国の古典に起源をもつことから、儒教社会に共通する心の所作ともいえそうです。

罪深い「空気」よりも厄介

 同じく、日本社会の機微を表す言葉に「空気を読む」があります。否定形は「KY(空気を読まない)」という略語で、すっかり定着しました。当初、「KY」は場の雰囲気を壊す行為としてネガティブに捉えられていました。しかし最近は、その後に浸透してきた「同調圧力」という言葉へのカウンターとして、ポジティブに捉える見方も広がっているようです。

 それどころか、「空気を読む」ことのほうがネガティブであるとして、「空気」の危険性を説いた有名な論考があります。評論家・山本七平氏の『「空気」の研究』(1977年)です。山本氏は冒頭で、戦時中に大本営が下した戦艦大和の出撃命令を例に挙げ、「空気」というものの正体とその罪を明らかにしました。

 大戦末期、会議に出席した日本軍の参謀は、制空権を奪われた沖縄に大和を出撃させるのは無謀な作戦と分かっていました。冷静に戦況を分析できていたのです。しかし、陸軍の総攻撃に呼応し簡単には引き下がれない、という会議の場の「空気」に流されて、非合理な命令を下したのでした。山本氏はつづけて「水を差す」という、「空気」への伝統的な対処法を紹介しながらも、〈「空気」とはまことに大きな絶対権をもった妖怪である。一種の「超能力」かもしれない〉などと述べています。

 「忖度」は、より以上に厄介かもしれません。「空気」は会議や組織など一定の集団のなかで形成・共有されるものですが、「忖度」のベクトルは空間を超えて、離れた集団や直接かかわりのない人物にも向けられます。籠池氏の指摘が真実か否かはともかく、まさに「忖度」は「読む」行為に止まらず、「推し測る」行為なのです。





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