「昭恵夫人付」の官職名は?ー森友問題を考えるチョットしたヒント – BLOGOS

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 連日各メディアを賑わしている森友問題、国会での押し問答はまだまだ続いている。確かに本件は国有財産の処分の適正性に関する問題でもあり、それに政治家が関与していたとすれば由々しき話である。しかし、この問題以外にも今国会において議論することはたくさんある。テロ等準備罪の新設のための組織犯罪処罰法の改正案に民法の大改正案、福島原発の廃炉処理を加速化させるための原賠法の改正案、種子法の廃止、水道法の改正、継続審議となっている労働基準法等の改正・・・と枚挙に暇がない。無論、これから閣議決定され、国会に提出される法案もある。そういえば衆議院選挙区の区割り法案もそうだ。

 したがって、野党議員諸氏には、上手な役割分担で国会対応をお願いしたいところ。確かに、森友問題を扱えば目立つしメディアでも取り上げられやすい。政策ではなく政局で目立つことを好む民進党旧民主党系議員にとっては、格好のネタなのかもしれないが、森友問題はその手の追求が上手い議員に任せておけばよく、特定分野の政策を愚直に追及する議員が一定程度いてもいいように思うが。(もちろんいることはいるのだが、「森友祭り」状態のメディアではなかなか取り上げられることはないのは、非常に残念だ。)

 もっとも、この森友問題も政策と全く無関係というわけではない。まず、この問題に関しては、籠池学園とのやりとりが公務なのかどうなのかとか、昭恵夫人の活動が公人としてのものか私人としてのものかといった点が焦点となっている。この点に関し、籠池学園からの要望に対して実際にやりとりを行った、昭恵夫人付の谷査恵子氏、彼女の担った業務というか行為の性格が論点になっている。先週の衆院での質疑では、谷氏が使用したとされる封筒まで登場したが、これは政策的に考えると公務員制度の運用の話である。

 谷氏の行った業務の性格を考えるためには、まず、同氏はどのような立場なのかを明らかにする必要がある。すなわち、同氏の官職名は何か?である。メディアでは「昭恵夫人付」という表現が独り歩きしているが、「昭恵夫人付」というのは官職名ではない。一般に、国家公務員は所属する役所によって「◯◯事務官」という官職名が付されている。谷氏の場合は経産省に入省しているので経済産業事務官であるが、官邸の職員として勤務することになると内閣官房に出向することになるので内閣事務官ということになる。

ただし、各行政機関やその局や課といった組織の定員や役職の数は法令で決まっているので、内閣官房に相当する職や定員がなければ、他の行政機関の組織の定員・役職にありながらそちらの仕事をせずに(する場合もあるが)、他の行政機関の役職の仕事をする「併任」という方法が用いられることになる。内閣官房等の内閣の機関の定員は平成29年度末で1202人であるので、谷氏の場合は内閣事務官であった可能性が高いと考えられる。

 そして同氏の場合は、出向元(場合によっては併任元)の経産省では係長であったようなので、係長相当職(係長以外の名称として、主査、専門職等)の役職に就いていた、ということであろう。

 こうしたことを確認することを通じて何が明らかになるかと言えば、谷氏は内閣官房の内閣事務官で係長相当職であったと考えられ、同氏がその立場で行った行為の基本的な性格は公務であるということである。しかもそれが勤務時間内であれば職務専念義務が課せられているので、休憩や休息の時間(この運用も筆者の在籍時ぐらいから厳しくなった。)を除けば原則的には公務以外のことはやってはいけないことになる。要するに籠池学園とのやりとりは公務でなければならず、公務でないとすればそれはそれで問題ということなる。

 次に、「昭恵夫人付」ということについて、これについては職務命令上付されたものであると考えられるが、あくまでも通称であって、実際には別の職務命令が発令されている可能性もあり、その職務の延長線上で実質的に「昭恵夫人付」だったということも考えられる。そもそも「昭恵夫人」は官職名でも機関名でもないし、総理秘書官でも補佐官でも部局長でもなんでもない。通常「付(づき)」と呼ばれる職は、併任のための「官房付」のような場合を除いて、政務三役の秘書官の秘書のような業務や次官クラスや局長クラスの秘書的な業務を担当している。

極端な言い方をすれば雑用係ということなのだが、先述のとおり、別の職務命令が発令されていてその延長線上でということであれば、「昭恵夫人」は何の官職にも就いていないものの、夫人の行為や活動のお世話係という職務はありうるわけで、少なくともその範囲では「昭恵夫人」の行動や活動は私人のもの、私的なものと言い切ることは困難であろう。逆に私人であり私的なものであるとすれば、そのお世話をさせること自体がおかしいし、谷氏本人のみならず、お世話係をするよう命じた上司も責任を問われることになる。

 それから、小学校建設予定地に係る土壌汚染の土地の価格への影響も論点となっている。これは政策的には国有財産管理の問題ということになる。

 筆者の経験に基づいて概略的に説明すると、基本的に国有財産は表面で評価される。無論土壌汚染対策法施行後は土壌汚染のおそれのある土地については調査を行うこととなっているが、そうでなければ表面で評価して価格が決まる。

 筆者が公害等調整員会在籍時に某地方財務局から本省理財局国有財産審理課(当時)経由で相談を受け、その後公害事件として処理することになった案件では、相続税の物納として国庫に収められた土地について、国からディベロッパーに売却後、開発の段階で土壌汚染が見つかっている。この土地は廃業したメッキ工場の跡地であり、土壌汚染の可能性は予見できたと考えられるが、特段値引き等が行われたとは承知していない。(もっとも、ディベロッパーからの請求を受けて土壌汚染対策費用は国が負担したのであるが。)

 つまり、筆者の知る限りにおいては、国有財産について土壌汚染を理由として値引きをしたり、後から見つかった土壌汚染について瑕疵担保責任を免れたりするといったことはありえないと考えられる。

 政策論としての議論を期待しつつ、以上、森友問題を考えるヒントとして。





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