「働き方改革」“ライフ”が優先 ー 婚活支援に本気になった都の狙いとは

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“TOKYO縁結日2017”の会場の風景

東京千代田区の東京国際フォーラムで3月、 “東京縁結日2017”が開かれました。都が結婚を応援する同イベントでは、元総合格闘家でタレントの高田延彦さん、イラストエッセイイストの犬山紙子などがゲスト登壇し、トークに花を咲かせました。また、会場には“婚活ファッションコーディネイト”、“婚活メイク”といった婚活に役立つブースや、共働き家庭のための家事代行サービスを紹介するブースなども設けられ、多くの参加者が各ブースで熱心に話を聞く光景が見られました。

今般、過疎化が著しい地方都市では、行政が主導してお見合いパーティーや街コンといった男女の出会いを支援する催しが頻繁に開かれています。一方、東京はいまだ人口が増え続け、新年度となる毎年4月に進学する新大学生や就職で上京してくる新社会人などで溢れかえります。

行政がおせっかいを焼かずとも東京には出会いの場はたくさんあるように思えます。それにも関わらず、なぜ都は婚活支援に取り組もうとしているのでしょうか?

“ワーク・ライフ・バランス”ではなく、“ライフ・ワーク・バランス”を

昨年8月に都知事に当選した小池知事は、当選直後から東京五輪や築地市場の移転問題などで注目を浴びています。そうした都が抱える問題のほかにも、小池知事が提唱して急速に社会に浸透しているのが“働き方改革”です。

これまで多くの社会人の間で、長時間労働や休日出勤などは当たり前とされてきました。しかし、小池都知事は「20時退庁」という目標を打ち出し、働き方改革のトップランナーを走っています。

そんな“仕事ファースト”の社会を大きく変えようとする小池都知事は、政府や経済界が推進する“ワーク・ライフ・バランス”ではなく、“ライフ・ワーク・バランス”を掲げています。これは仕事よりも生活を重視するといった意味から、“ライフ”が先にあるべきという小池知事の持論です。

「“TOKYO縁結日”は、そうした“ライフ”を充実させる取り組みの一環として開催されることになりました」と話すのは、都政策企画局調整部政策担当課の担当者です。

「実は、こうした婚活イベントは小池知事が発案したわけではありません。以前から、庁内で企画は持ち上がっていましたし、都議会で議論されたこともあります。実際、2014(平成26)年には、『アウトドア婚活in海の森』が催されています」(都政策企画局調整部政策担当課)。

衆院議員時代から婚活支援に力を入れていた小池知事

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“TOKYO縁結日2017”のイベント冒頭であいさつする小池知事

都知事に就任したからといって、小池知事は思いつきで婚活イベントをやろうとしたわけではありません。自民党内には「婚活・街コン推進議員連盟」が設置されていますが、実はこの議員連盟を立ち上げたのが、当時は衆院議員だった小池都知事です。婚活支援を長らく国会議員として取り組んでいたわけです。

そんな経緯から、都知事として婚活支援を実践する。こうして“TOKYO縁結日”は開かれることになりました。とはいえ、行政が婚活支援に取り組むと聞くと、戦前期に政府が殖産興業の一環として掲げていた“産めよ増やせよ”のスローガンを想起してしまう人もいると思うのですが……。

「都は正規労働に就きたいと望む非正規労働者の支援に取り組んだり、出産した女性がそのまま仕事を続けられるように子育てに向いた住宅の設置支援に取り組んだりしています。さまざまな支援に取り組む中、結婚から子育てまで切れ目のない支援をするということで、今回の婚活支援にも取り組むことになりました。結婚には、その人の価値観や人生観が強く反映されます。“TOKYO縁結日”には、都が結婚を強制するような意図はありません」(都政策企画局調整部政策担当課)。

経済的な事情や子育て支援……婚活支援以外に課題山積

2016(平成28)年、年間の出生数はとうとう100万人を割り込みました。そうした危機感から、政府も地方自治体が取り組む婚活支援へのサポートを始めています。今のご時世、そうした行政による男女の出会いをサポートすることも大事なのかもしれません。

しかし、そもそも結婚しようと考える男女が減少したことや、カップルなどがいざ結婚に踏み切れない理由は、なによりも経済的な事情が大きいと言われます。不安定な雇用や低収入、共働きを選択する男女なら子供が生まれた後の子育ての支援体制も気になるところです。

そうした課題を解決しなければ、行政がいくら婚活支援に取り組んでも絵に描いた餅でしかありません。都が解決しなければならない課題は山積みです。

小川裕夫=フリーランスライター





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