高浜原発、再稼働へ 「安全性が欠如しているとはいえない」大阪高裁が判断

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高浜原発、再稼働へ 大阪高裁、停止の仮処分取り消し

 関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)について、大阪高裁(山下郁夫裁判長)は28日、大津地裁が出した運転差し止め仮処分決定を取り消し、運転再開を求めて保全抗告していた関電側の訴えを認めた。「安全性が欠如しているとはいえない」と判断した。この決定を受け、関電は近く運転停止中の高浜3、4号機の再稼働に向けた手続きを進める方針。

 関電は高裁審理に向け、原発の安全性に関する計約5千ページの資料を用意。大津地裁が多くの争点を「説明不足」と指摘したためで、今回の決定は関電側の大半の主張を認め、大津地裁の決定を全面的に覆し、住民側の訴えを退けた。

 決定はまず、国が福島第一原発事故の後に定めた新規制基準について「現在の科学技術水準を踏まえた合理的なもの」と評価した。

 地裁や今回の決定では、争点となった原発の安全性の立証責任について「安全審査に関する資料をすべて保有する関電がすべきだ」とした。地裁段階では関電の立証不足が指摘されたが、高裁は関電の主張を受け入れて、新基準に適合していると判断。一方、住民側に「新基準自体に合理性がないことを立証する必要がある」と求めた。

 また、地震や津波への関電の対策も検討。関電が、原発に与える影響が大きい活断層を選定▽複数の評価方法で基準地震動(電力会社が耐震設計の基本とする最大の揺れ)を700ガル(ガルは揺れの勢いを示す加速度の単位)とした▽十分な耐震補強工事を実施▽原発の重要施設で基準地震動に耐えられると解析で確認――などと主張した点について、「相当の根拠と資料に基づき、安全性が明らかになった」とした。また、地上や取水路から津波が原発の重要施設の敷地内に流入しないことを確認しているとの説明も認めた。

 さらに国や地方公共団体、自衛隊などが避難計画について役割を取りまとめていることを挙げ、「取り組み姿勢や具体的内容は適切」と述べ、対策に不合理な点はないと結んだ。

 運転差し止め仮処分を申請したのは、高浜原発から30~70キロ圏内に住む滋賀県の住民29人。3、4号機は再稼働が早いと見込まれたため、2015年1月、原発の運転差し止めを求めた本訴とは別に大津地裁に申し立てていた。決定を受け、最高裁に特別抗告などをすることができるが、今後、慎重に検討するという。

 住民側は「原発事故が起これば、琵琶湖が汚染され、住民に深刻な打撃を与える」として、平穏で健康に暮らす人格権の侵害だと訴えていた。しかし、高裁は安全性は欠けておらず、人格権侵害を判断するまでもないため、申請そのものに「理由がない」とした。

 住民と弁護団は「ほぼ関西電力の主張に沿う判断。民意を無視した司法の暴走とも言うべきもので、怒りの念を禁じ得ない」と強く批判した。一方、関電は「高浜原発3、4号機の安全性が確保されていることについて科学的・技術的観点から丁寧な説明をしてきた。決定は、説明により裁判所に理解いただいた結果であると考えています」とのコメントを出した。

 原子力規制庁によると、現在、稼働中の原発は九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)と四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の2原発で計3基ある。(釆沢嘉高、阿部峻介)

     ◇

■関西電力高浜原発3、4号機をめぐる大阪高裁の決定理由の骨子

・福島第一原発事故の原因は一部未解明だが、基本的なことは明らかにされている。教訓を踏まえて作られた国の新規制基準は不合理ではない

・原発の安全性の立証責任は科学的知識や資料を持つ関西電力側にもあり、十分説明できない場合は安全性を欠くと推認される。新規制基準が不合理だと立証する必要は住民側にある

・関電側は新規制基準に適合した地震対策や津波対策をしており、安全性に問題があるとは言えない

・新規制基準が避難計画などの原子力災害対策を規制対象にしていないのは不合理ではない

(朝日新聞デジタル 2017年03月28日 22時36分)

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(朝日新聞社提供)



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