社説[県立博物館・美術館の使用不許可]規制には慎重さが必要 – 沖縄タイムス

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 民間団体の東アジア共同体研究所琉球・沖縄センター(緒方修センター長)が勉強会のため県立博物館・美術館(県博)に会場使用を申請したところ、「政治色が強すぎる」「(同館の)設置趣旨にそぐわない」との理由で不許可になっていたことが分かった。

 講師は元外務省国際情報局長の孫崎享さんで、演題は「沖縄とトランプ大統領」。国際問題の専門家によるタイムリーな企画と言える。

 琉球・沖縄センターは過去2回、博物館のホール、会議室を利用して同種の講演会やシンポジウムを開いているが、何の問題も起きなかった。なぜ、今回に限って不許可になったのか。

 「孫崎氏を招いた勉強会のどこがそぐわないのか」「孫崎氏の政府批判の論調が理由なのか」-言論の自由に関わる問題だとしてセンター側が疑念を抱くのは当然である。

 県博を運営する指定管理者の「沖縄美ら島財団」は、2017年度から施設を利用する際の予約方法を改めることになり、ホームページにもその旨、掲載した。「仮予約の時点で利用内容や趣旨などを精査し、後日、貸し出しの可否を決定し連絡する」という方法だ。

 美ら島財団は今回、大きなミスを犯した。予約方法の変更は4月以降の適用のはずなのに、誤って3月20日開催予定の勉強会に適用してしまったのだ。ずさんな単純ミスである。

 ミスに気付き、財団がセンター側におわびの電話を入れたのは3日のことである。

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 なぜ、予約方法を変更したのか。財団の説明によると、これまでは施設の設置趣旨とかけ離れた企業セミナーや各種の催しに対しても幅広く会場を貸し出していたが、これからは特に週末や祝祭日は、設置目的に沿った事業への利用を優先させることになったという。

 気になるのは使用不許可とするケースを10項目列記し、その中に「政治目的のための利用」を盛り込んだことだ。

「政治目的」とはいかにもあいまいで、恣意(しい)的な運用がまかり通るおそれがある。

 県博はどういうケースを想定しているのだろうか。何よりも自由を重んじる美術館にとって「政治的」とは、何を意味するのだろうか。

 県博で開催中の「真喜志勉展」は、オスプレイ配備や新基地建設への批判をたぎらせた政治的アートである。同展開催中にこのような問題が持ち上がるのは、何ともちぐはぐである。

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 公の施設の使用規制は「言論・表現の自由」を息苦しくさせるおそれがある。慎重な対応が必要だ。

 地方自治法は、正当な理由がない限り「住民が公の施設を利用することを拒んではならない」とうたっている。

 施設の利用を認めるかどうかの判断は「管理権者の単なる自由裁量に属するものではない」(芦部信喜『憲法 第3版』)のである。

 公の施設利用申請に対し、使用を拒否するケースが全国で相次いでいるだけに、丁寧な説明が求められる。





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